二十八宿・星の名前 / 大石浩之の暦ことばノート
畢宿はどの星?2026年秋にたどる星の名前
畢宿は、実際の空のどの星を指すのですか?
畢宿は、中国の二十八宿の一つです。おうし座のアルデバランと、その付近の星がつくるまとまりを指します。近くに見えるヒアデス星団と、アルデバランは同じ集団ではありません。空での見かけの並びと、実際の星の所属を分けると、名前を読み解けます。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として働きながら、このブログでは暦の言葉を資料から調べています。サイトに「畢宿」と出ても、星図のどこを見ればその名前に出会えるのか、すぐには分かりません。今回は「畢宿はどの星なのか」という一つの疑問をたどります。
手がかりは、おうし座のアルデバランです。ただし、その星だけを畢宿と呼んで話を終えると、周囲の星との関係が抜けます。国立天文台の説明と、星名を解説する百科事典を使い、昔の星のまとめ方と天文学でいう星団を分けます。資料確認日は2026年10月26日です。
1.畢宿はアルデバランと付近の星がつくるまとまり
畢宿は、中国の二十八宿の一つで、アルデバランと付近の星がつくるまとまりです。小学館『日本大百科全書』の「アルデバラン」は、おうし座のα星について説明した上で、中国では周囲の星と畢宿をつくると記しています。「どの星か」の入口は、この対応です。
アルデバランは、おうしの目に当たる位置の赤橙色の星です。星図では「おうし座」「アルデバラン」という名前が手がかりになります。「畢宿」の文字が書かれていない星図でも、別の名前から同じ空の場所へ近づけます。昔の呼び名と現在の星図の見出しは、いつも一対一で印刷されているわけではありません。
ここで「一つの星の名前」と「星をまとめた名前」を分けます。アルデバランは個々の星の固有名です。畢宿はその星を含む中国の星のまとまりです。したがって「畢宿とはアルデバランの別名」とだけ覚えると、説明が狭くなります。星の名前の横に、個々の星なのか、星々の組なのかを書き添えると整理できます。
読み方にも資料の表記があります。このサイトの畢宿の紹介ページは「ひつしゅく」と表記し、日本大百科全書の当該項目は「ひっしゅく」と記しています。本稿はサイトの表記を使います。読みが少し違っても、畢という漢字とアルデバランとの対応を一緒に確認すれば、別の宿だと取り違えずに済みます。
2.二十八宿の表では西方白虎の一つ
畢宿は、二十八宿を四つの組に分けた表では西方白虎に入ります。国立天文台の暦Wiki「二十八宿」には、奎宿・婁宿・胃宿・昴宿・畢宿・觜宿・参宿の順に並んでいます。畢宿の前は昴宿、後ろは觜宿です。
国立天文台は二十八宿を、天体の位置を表す基準や暦注として使われた中国流の星座と説明しています。月がどの宿のどの位置にあるかを表す働きがあり、宿の間隔は均等ではありません。ここで読んでいるのは、性格を説明する文章ではなく、空の位置を表してきた仕組みです。
「西方白虎」という分類名を見て、観察する夜も西の空だけを探す必要がある、と考えないようにします。表の中の所属と、その日時・場所から見える方角は別に確認するものです。四つの組の並びは、四神と二十八宿の関係にも整理しています。分類表は名前の位置を知るために使います。
また、現代のおうし座という区画全体と畢宿を同じものにはしません。おうし座の中にはアルデバランも、すばるもありますが、中国の宿名では畢宿と昴宿を分けて読みます。空の分け方そのものを確かめたいときは、二十八宿と88星座の違いが補助になります。今回は畢宿の対応先に話を絞ります。
3.近くに見える星が、同じ星団とは限らない
アルデバランはヒアデス星団の近くに見えますが、その星団の一員ではありません。国立天文台岡山天体物理観測所の「おうし座に巨大惑星を発見」の図2は、この点を明記しています。星団はおうしの顔に当たる位置で、V字形に集まって見える星々です。
同じ資料は、アルデバランがたまたま同じ方向に見えると説明しています。日本大百科全書も、アルデバランとヒアデス星団は空間的に離れていると記しています。写真や星図では隣同士に見えても、地球からの距離まで同じとは限りません。空に映る並びを、そのまま奥行きのある配置に置き換えることはできないのです。
「星団」という言葉は、ただ近くに見える点の集まりという意味ではありません。国立天文台の研究紹介は、散開星団に属する星々を、同じ場所で同じ時期に誕生したとみなせる集団として説明しています。見かけの形を手がかりに結んだ星のまとまりとは、名前を付ける際の関心が違います。
畢宿の説明にヒアデス星団が登場しても、「畢宿のすべてが一つの星団」と読み替えないことが大切です。畢宿は空の星をどうまとめて呼ぶか、星団は星々が実際にどの集団に属するかという話です。この二つを分ければ、アルデバランを手がかりに畢宿を知ることと、星団への非所属は矛盾しません。
4.2026年秋は、冬の星座が見え始める時期から読む
2026年11月の空について、国立天文台は東の空に明るい星の多い冬の星座が見え始めると説明しています。10月26日の本稿では、次の月の「東京の星空・カレンダー・惑星」を季節の入口にします。記事の対象は、畢宿という名前の意味と星の対応です。
掲載される全天図には「2026年11月中旬21時頃」という条件があります。東京向けの図を、磐田の10月26日なら何時でも同じ向きに見える図として使うことはできません。場所と時刻をそろえる必要があります。星図を開いたら、星の名前を探す前に、対象の月・時刻・地点を読みます。
アルデバランの名前を星図で確認したら、その周囲にあるV字形の星々との関係を読みます。ただし、本稿の挿絵は配置の考え方を示す模式図で、星を探すための正確な地図ではありません。観察には観察日時に合った星図を使います。図の目的を確かめることも、名前をたどる作業の一部です。
同じおうし座には、昴宿につながるすばるもあります。こちらは昴宿の探し方で、名前と星図の対応を説明しています。すばるを知っている方なら、同じ星座の中にも異なる宿名があると気づく入口になります。畢宿を理解するために、二十八宿の全名称を一度に覚える必要はありません。
5.私は、宿名を自分への評価にする前に資料へ戻りたい
宿名に使われる漢字が同じでも、資料が扱う仕組みまで同じとは限りません。国立天文台の暦Wiki「ナクシャトラ」は、インドの二十七宿を中国語へ訳す際に二十八宿と同じ名称を当てたものの、必ずしも同じ星座を指さないと説明しています。本稿の星の対応は、中国の二十八宿としての畢宿です。
私は、宿の名前を見た直後に、それを自分の性格や予定の良し悪しへ結び付けなくてよいと考えます。まず「この資料は実際の星を説明しているのか、暦の配当を説明しているのか」を確かめる。その一手間で、名前の印象だけに引かれずに読む材料が増えます。生活上の判断には、関係者の都合や実際の条件を使いたいと思います。
私が説明の仕方で迷うのは、分かりやすく短く言おうとして、違う集まりを一つにしてしまう点です。「畢宿はアルデバラン」と言えば覚えやすい反面、付近の星が抜けます。「ヒアデス星団」とだけ言えば、アルデバランの所属を誤って伝えかねません。短い説明にも、星の名前と星団の所属を分ける一文は残したいと考えます。
今日できる確認は、国立天文台の二十八宿の表で畢宿の行を見てから、研究紹介の図2の説明を読むことです。前者では西方白虎の中の位置、後者ではアルデバランが星団に属さないことが確認できます。一つの名前から二つの資料へ戻るだけでも、畢宿が指す星のまとまりと、空の奥行きを分けて読めます。
よくある質問
畢宿は、一つの星の名前ですか?
一つの星の固有名ではありません。中国の二十八宿の一つで、日本大百科全書はアルデバランと付近の星がつくるまとまりとして説明しています。現代の星図では、おうし座のアルデバランが入口になります。畢宿とアルデバランを完全な同義語として覚えず、星の組と個々の星を分けます。
アルデバランはヒアデス星団の星ですか?
ヒアデス星団には属しません。国立天文台の図の説明では、アルデバランはたまたま同じ方向に見える星です。ヒアデス星団はおうしの顔に当たるV字形の集まりで、アルデバランとは空間的に離れています。星図上で近くに並ぶことと、実際に同じ星団に属することは別です。
本命宿が畢宿なら、星から性格が分かりますか?
この記事で確認した星の位置や所属は、人の性格を説明する根拠ではありません。中国の二十八宿としての星のまとまりと、生年月日から宿を配当する仕組みは分けて読みます。宿名が同じでも資料の対象は確かめ直し、性格や相性の成否、将来の出来事を天文学的な事実として断定しません。
調べた資料・出典
2026-10-26 確認
- 国立天文台 暦Wiki「二十八宿」 — 西方白虎の配列、位置の基準と暦注、宿の不均等な間隔。2017年8月30日更新。2026年10月26日確認。
- 国立天文台「東京の星空・カレンダー・惑星(2026年11月)」 — 概要の東の空の冬の星座、図の条件は東京・11月中旬21時頃。公表日表記なし。2026年10月26日確認。
- 国立天文台 岡山天体物理観測所「おうし座に巨大惑星を発見」 — 図2でヒアデス星団のV字形とアルデバランの非所属を確認。散開星団についての説明も参照。2026年10月26日確認。
- 小学館 日本大百科全書「アルデバラン」(岡崎彰、コトバンク掲載) — 補助資料。畢宿とアルデバラン・付近の星の対応、読みの表記、ヒアデス星団との空間的な分離。項目公表日表記なし。2026年10月26日確認。
- 国立天文台 暦Wiki「インド暦/Naksatra」 — 漢訳時に二十八宿の名を当てたが、必ずしも同じ星座を指さないという留意点。2017年10月12日更新。2026年10月26日確認。
暦の吉凶は歴史的な分類・言い伝えとして紹介しています。個人の運命や出来事の結果を保証するものではありません。暦の計算法や資料の説明は更新されることがあります。生活上の予定は、関係者の都合や実際の条件を確かめて決めてください。