二十八宿 / 大石浩之の暦ことばノート
壁宿の探し方|2026年秋の星図からたどる
暦に出てくる壁宿は、夜空のどこを探せばいいの?
秋の四辺形を入口に、アンドロメダ座α星(アルフェラッツ)を探します。中桐正夫氏の星名対応表では、この星が『方円星図』の壁宿二です。四辺形全体が壁宿ではありません。観察地点・日付・時刻に合う星図で照合し、暦の日付への配当とは分けて確かめます。
暦にある壁宿を、実際の星につなげてみたい。入口になるのは、秋の四辺形です。私は大石浩之(磐田市/不動産業)、宅地建物取引士です。この記事では観察をした実話ではなく、2026年10月11日に確認した星図と星名資料から、空を探す準備を整理します。
2026年10月の星図で、まず秋の四辺形を探す
秋の四辺形は、ペガスス座の星とアンドロメダ座の星を結ぶ目印です。壁宿という文字を現代の星図で探す前に、この四角い並びを見つけます。四辺形を見つけたことと、壁宿に当たる星を確かめたことは、別の段階です。
浜松科学館は2026年10月1日公開の「今月の星空(2026年10月)」で、秋の宵の四辺形を紹介しています。文は浜松市天文台です。「ペガスス座」の節では、四辺形の辺を延ばして周囲の星座をたどれると説明しています。まず形をつかみ、その後に星名へ進むための入口になります。
同ページから開ける「星空案内」2026年10月号の全天図は、上旬21時ごろ、中旬20時ごろ、下旬19時ごろが基準です。月号だけでなく、この時刻も読みます。四辺形は黄色い線で示され、そのそばに「ペガスス」「アンドロメダ」の名前があります。
私は、最初に探す形が一つに絞られている点を、この案内の良さだと考えます。ただ、壁宿まで知りたい読者には、現代の星名と古い星名を結ぶ表がもう一枚必要です。四角を見つけた勢いで、四つ全部を壁宿と呼んでしまうと、せっかくの目印を取り違えます。
星名対応表で「アンドロメダ座α星=壁宿二」を確かめる
壁宿をたどる確かな入口は、アンドロメダ座α星です。中桐正夫氏の調査報告「方円星図の星の名前を理科年表の主な恒星に同定」は、この星を『方円星図』の「壁宿二」に対応させています。国立天文台サイト掲載のアーカイブ新聞第857号、2015年10月20日付の1ページに載る表です。
報告が扱う『方円星図』は、石坂常堅が1826年に著した星図です。この記事では原図を独自に読み解いたとはせず、中桐氏の同定結果を使います。掲載PDFにも、現在の国立天文台の公式見解を示すものではないという注意があります。古い星名の橋渡しをする調査報告として読みます。
| 現代の星の表記 | 同報告の星名(和) | 掲載ページ |
|---|---|---|
| アンドロメダ座α星(α And) | 壁宿二 | 1ページ |
| ペガスス座α星(α Peg) | 室宿一 | 4ページ |
| ペガスス座β星(β Peg) | 室宿二 | 4ページ |
表のαは「アルファ」、βは「ベータ」です。Andはアンドロメダ座、Pegはペガスス座の略記として使われています。同じαでも、星座名が違えば別の星です。「α」だけを控えず、「α And」のように星座名と組にして残します。
意外なのは、秋の四辺形という一つの目印に、壁宿と室宿の星が入っていることです。四辺形の四つ全部が同じ宿に当たるわけではありません。現代の星座の線と、古い星名の区分は一致しない。ここは、はっきり分けて覚えたいところです。
星の固有名で探すときは、大日本図書「秋の四辺形」の星名表示も使えます。アンドロメダ座側の角にあるアルフェラッツから、シェアト、マルカブ、アルゲニブという四つの名前を照合できます。星座の名前だけの図で迷ったら、星名を表示した図へ切り替えるための資料です。
空へ向ける前に、星図の地点・日付・時刻をそろえる
夜空で壁宿の星を探す際は、観察する場所と日時に合う星図を使います。浜松の月別図は入口として読み、別の地点や別の時間に見る場合は条件を合わせ直します。紙面の左上を覚えただけでは、体の向きや時刻が変わったときに迷います。
国立天文台暦計算室の「今日のほしぞら」では、地点と日時を指定できます。表示された地点名、年月日、時刻を確認し、ペガスス座とアンドロメダ座の位置を見ます。2026年10月11日に観察するなら、その日付を入力します。別の夜に試すときは、日付も変えます。
- 足元が安全で、星図が示す方向に建物や木の遮りがない場所を選ぶ。
- 星図の方角を実際の方角に合わせ、四辺形の四つの角を空で探す。
- アンドロメダ座につながる角を、星名のある図でアルフェラッツと照合する。
- 「アンドロメダ座α星/壁宿二」という資料の対応と、見つけた星を結び付ける。
丸い全天図は、上がいつも目の前の空を意味するわけではありません。浜松市天文台の星空案内には、図を頭上にかざし、実際の方角と合わせる使い方も示されています。屋外では歩きながら画面を見ず、立ち止まって図と空を交互に確かめる段取りを勧めます。
昴宿も探してみたい場合は、昴宿の探し方へ進めます。そちらの対象は、おうし座のプレアデス星団M45です。今回の四辺形の角にある星とは別の対象なので、見つけ方をそのまま置き換えないようにします。
北方玄武という分類と、今夜見る方角は別に読む
壁宿は、二十八宿の伝統的な分類で北方玄武に属します。国立天文台暦Wiki「二十八宿」の一覧で確認できます。この「北方」はグループ名の一部です。観察する夜に、地平線の北側だけを探せという指示ではありません。
同じ暦Wikiは、二十八宿を天体の位置を表す基準として説明したうえで、暦注として年・月・日に割り当てる使い方を別に述べています。暦注とは、暦の日付などに添えられる注記です。星の位置と、ある日を「壁」と呼ぶ配当は、目的の違う情報として読みます。
したがって、カレンダーに壁宿と書いてある日だけ星が現れる、ということではありません。星を見つける条件は、観察する日時や場所、雲、周囲の明かり、視界です。吉凶や相性についての言い伝えを、星の見え方を決める天文学的な根拠には使いません。
四神との組み合わせは四神と二十八宿の関係で、日付への配当を知りたい場合は二十八宿の調べ方で確認できます。「どの組か」「暦のどの日か」「空のどの星か」を、調べたい問いに応じて分けると資料を選べます。
見えたと決める前に、確かめる材料を一つ増やす
壁宿の星を見つけられなかった夜には、四辺形まで見えたか、星名まで照合できたかを分けて記録できます。「見えなかった」の一言より、次に調べる場所が明確になります。日時と地点、参照した星図も一緒に残せます。
私は、四角らしい形を見ただけで「壁宿を見た」と言い切るのは早いと考えます。見えたことにしなくていい。今日の成果は、見つけたという結論より、確かめる材料が一つ増えることです。雲や明かりで判断できなければ、保留したまま別の夜へ持ち越せます。
私には、古い星名を全部並べてから案内するか、一つの星に絞るかという迷いがあります。今回は、公開された対応表に戻れる壁宿二を入口にしました。名前を覚える量を増やすより、「この星を、どの資料がそう呼んでいるのか」まで戻れる方が、初めて探す人には役立つと思うからです。
今日できる確認は、星名対応表の「α And/壁宿二」を一行控えることです。そのうえで、日時を合わせた星図からアンドロメダ座側の角を探します。古い暦の一語が、空で確かめたい一つの対象になる。私は、そのくらいの距離で暦と付き合いたいです。
よくある質問
秋の四辺形の四つの星は、全部が壁宿ですか?
四つ全部が壁宿ではありません。中桐正夫氏のアーカイブ新聞第857号では、アンドロメダ座α星を壁宿二、ペガスス座α星を室宿一、β星を室宿二に同定しています。現代の星座を探す目印と古い宿の区分は同じではないため、まず四辺形を見つけてから、星座名と星の記号を表で照合します。
北方玄武に属する壁宿は、北の空を探すのですか?
北方玄武は二十八宿をまとめる伝統的な分類名で、今夜の観察方向を指定する言葉ではありません。壁宿の星を探すには、観察地点・日付・時刻を合わせた星図を使い、ペガスス座とアンドロメダ座の位置を確認します。地平線の北側に限定して探すのではなく、星図に記された方角を実際の空に合わせます。
カレンダーに壁宿とある日だけ、壁宿の星が見えますか?
暦の日付への配当と、星が見える条件は別です。国立天文台の暦Wikiは、二十八宿による天体位置の表し方と、暦注として年・月・日に割り当てる使い方を分けて説明しています。観察では日時や場所、雲、周囲の明かり、建物などの遮りを確かめます。暦の宿名だけでは観察の成否は判断できません。
調べた資料・出典
2026-10-11 確認
- 浜松科学館「今月の星空(2026年10月)」 — 2026年10月11日確認。2026年10月1日公開、文は浜松市天文台。「ペガスス座」の節で秋の四辺形の役割を確認。
- 浜松市天文台・浜松科学館「星空案内」2026年10月号 — 2026年10月11日確認。全天図の基準は上旬21時・中旬20時・下旬19時ごろ。四辺形と星座名、方角を合わせる使用方法を確認。
- 中桐正夫「方円星図の星の名前を理科年表の主な恒星に同定」アーカイブ新聞第857号 — 2026年10月11日確認。2015年10月20日付。1ページのα And=壁宿二、4ページのα Peg=室宿一・β Peg=室宿二を照合。国立天文台サイト掲載の調査報告で、現在の同台の公式見解を示す資料ではない。
- 大日本図書「星や月・秋の四辺形」 — 2026年10月11日確認。2024年10月の教材。四辺形の構成と星名表示を確認。2026年の方位・時刻を示す資料としては使わない。
- 国立天文台 暦Wiki「二十八宿」 — 2026年10月11日確認。壁宿の北方玄武への分類、天体位置の基準と暦注への配当の違いを確認。
- 国立天文台暦計算室「今日のほしぞら」 — 2026年10月11日確認。観察地点・日付・時刻を指定する星図の入口。この記事では特定時刻の高度や方位角は算出していない。
暦の吉凶は歴史的な分類・言い伝えとして紹介しています。個人の運命や出来事の結果を保証するものではありません。暦の計算法や資料の説明は更新されることがあります。生活上の予定は、関係者の都合や実際の条件を確かめて決めてください。