宿曜・暦注の読み方 / 大石浩之の暦ことばノート
二十八宿と二十七宿の違い|2026年の月見に読む
二十八宿と二十七宿は、数が一つ違うだけなの?
二十八宿と二十七宿は、牛宿の有無と日への配当が違います。暦注の二十八宿は28宿を連続して割り当てます。二十七宿は牛宿を除き、旧暦の月ごとに1日の宿を定めて順に配当します。八月十五日は婁宿ですが、月の実際の位置を示す観測結果ではありません。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として仕事をする私が、このサイトの暦の言葉を資料から調べています。カレンダーには二十八宿、本命宿には二十七宿。同じ「宿」なのに数が違うのは、単なる表示の省略なのでしょうか。
2026年9月25日は中秋の名月です。月見を前に国立天文台の資料をたどると、牛宿があるかどうかに加え、日付への割り当て方にも違いがありました。特に面白いのは、二十七宿では八月十五日が婁宿になるという説明です。ここを手がかりに、空の位置と暦の名前を分けて読みます。資料の確認日は2026年9月24日です。
二十八宿と二十七宿は、数と配当をセットで比べる
国立天文台暦計算室の暦Wiki「二十八宿」は、二十八宿を天体の位置の基準や暦注に使われた28個の中国流星座と説明しています。暦注とは、暦に付ける注記のことです。星の位置を表す用途と、日に名称を付ける用途が、同じ言葉の中にあります。
同資料の二十七宿の説明では、二十八宿と比べて牛宿がありません。ただし、28から一つを外せば説明が終わるわけではありません。暦注の二十八宿は連続配当、二十七宿は月ごとの朔日の宿から配当する方式です。朔日とは、その月の1日を指します。
| 比べる点 | 二十八宿 | 二十七宿 |
|---|---|---|
| 宿の数 | 28。牛宿を含む | 27。牛宿を含まない |
| 日への配当 | 順番を連続させる | 旧暦の月ごとに1日の宿を決め、順に進める |
| 八月十五日 | 年によって宿が変わる | 婁宿になる |
| 読み取れないこと | 暦の日の宿名だけで、その瞬間の月の実位置は確定できない | |
二十八宿の並びには「斗・牛・女」があります。二十七宿では牛を外し、「斗・女」と続きます。比較表を探すときは、この一か所を見ると数の違いを確かめられます。牛宿という星の区分が空から消えるのではなく、二十七宿の配当には採用しない、という違いです。
歴史について、暦Wikiは二十七宿をインドの占星術から宿曜経に組み込まれたものと説明しています。日本の暦注では、貞享暦以降に二十八宿が用いられたとも記しています。ここでは国立天文台による歴史解説を参照しています。宿曜経の原文を今回独自に翻刻・検証したという意味ではありません。
「どちらが本当の宿か」という問いより、いつの資料で、何のために使う宿かを確かめるほうが、違いを追いやすいと私は考えます。名称の来歴と、現在見ている画面の計算規則は、両方を読む必要があります。
八月十五日の婁宿は、日付を数えると確かめられる
二十七宿では八月一日を角宿として配当します。国立天文台の暦Wikiは、そこから順に進んだ八月十五日が婁宿になると明記しています。2026年だけの特別な天体配置ではなく、月日への配当規則から出る名前です。
八月の最初の15日を順番に書くと、1日が角、2日が亢、3日が氐、4日が房、5日が心、6日が尾、7日が箕、8日が斗です。牛を入れず、9日が女、10日が虚と続きます。11日は危、12日は室、13日は壁、14日は奎、15日が婁になります。この「危」も伝統上の名称で、その日に危険が起きるという科学的な予報ではありません。
数えるときに引っかかりやすいのは、1日をすでに角宿としている点です。15日まで進める回数は14回です。角から15回進めると一つ先になってしまいます。暦の配当を手元で確かめるなら、宿名の下に日付を書き添えると、このずれを見つけられます。
もう一つ意外なのは、同じ資料で九月十三日も婁宿になることです。九月は1日の宿が氐に変わります。八月末の続きだけを機械的に送るのではなく、月初めの決まりを使うためです。したがって「二十七宿だから、どの月も切れ目なく27日周期」とだけ覚えると、月の境で読み違えます。
対して暦注の二十八宿は連続して配当されます。旧暦八月になったから角へ戻る、という規則ではありません。八月十五日の宿が年によって変わるという暦Wikiの説明も、この違いから読めます。月日への名称の付け方を比べたい方には、六曜と旧暦の関係も参考になります。六曜と宿は別の配当なので、名前の順番は混ぜません。
星の位置、27.3日の公転、29.5日の満ち欠け
天文学の月の公転周期と、月の満ち欠けの周期は異なります。国立天文台の暦Wiki「満ち欠けの周期」では、恒星月が約27.3日、朔望月が約29.5日です。前者は星に対する月の公転、後者は新月から次の新月までの周期を考える数値です。
月が地球の周りを回る間に、地球も太陽の周りを進みます。そのため、星を基準に一周しても、太陽との位置関係が新月に戻るにはさらに進む必要があります。「27」という数と旧暦のひと月を、そのまま同じ長さとして扱うことはできません。
星の位置の基準としての二十八宿にも注意が要ります。暦Wikiによれば、宿の間隔は均等ではなく、赤道と天の北極を基準にします。図のカードを同じ幅で並べたのは配当の順を見せるためで、空を28等分した図ではありません。月が一日に一宿ほど動くという概略と、毎日きっちり一宿ずつ移るという断定は別です。
2026年の月見の日付は、国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」で9月25日と確認できます。太陰太陽暦の八月十五日の夜に当たり、満月は9月27日です。名月と満月の日付が2日ずれる年に、さらに「婁宿」という配当名が重なります。三つの言葉は同じものを指していません。
名月の日と満月の瞬間を分ける理由は、中秋の名月と満月の違いで詳しく扱いました。国立天文台は、現在の旧暦を公的機関が公式に計算・発表しているわけではないことも注記しています。同ページの名月の日付は、二十四節気と朔の情報をもとにした案内です。
カレンダーと本命宿は、何に宿を付けているかを見る
このサイトのカレンダーは、日の暦注として二十八宿を表示します。本命宿は生年月日を旧暦に換算し、月初めの宿から二十七宿を配当する実装です。2026年9月24日にサイトの説明と計算コードの配当表を確認しました。入力する日付と、表示する分類の目的が違います。
カレンダーに牛宿があっても、本命宿の一覧に牛宿がないこと自体は矛盾ではありません。二十八宿のその日の名称を、二十七宿の本命宿としてそのまま転記すると、別の規則を混ぜることになります。比較するときは、欄の見出しまで含めて記録してください。
暦注や宿曜で語られる吉凶・相性は、伝統上の分類として読む部分です。天体の位置を計算できることから、人間関係の成否まで科学的に決まるとはいえません。近世以降の言い伝えも古典の記述も、月の観測結果と同じ証拠には扱えません。本記事では個々の吉凶説の年代や原典までは検証していません。
私は、暦の名前から資料へ戻れることを、このサイトの良い使い方だと考えます。一方で、同じ画面に星の数値と相性の言葉が並ぶと、根拠の種類まで同じに見えかねません。読む側にも書く側にも、「何を計算した値か」を一行添える余地が必要だと思います。
私の考え:どちらが正しいかを急ぐ前に、規則を一つ確かめる
宿の数が違うだけで、どちらかが間違いだと決めなくてよい。私はそう考えます。28か27かを選ぶ前に、その欄が日の暦注なのか、本命宿なのかを確かめる。その一手間で、選ぶための材料が増えます。暦の結果だけを理由に、予定や人との関係を決める必要はありません。
正直に言えば、「月の宿」という言葉の魅力を残しながら、観測と配当の違いをどこまで短く説明するか、私は迷います。注意書きだけでは楽しさが失われるし、星の物語だけでは誤解が残ります。そこで今回は、牛の有無と月初めの規則を、手で追える順番にしました。これは私の編集上の考えで、現地観測や相談実例の話ではありません。
2026年9月25日の月を調べるなら、紙に「名月の日付」「暦注の配当」「見たい時刻の月の情報」の3欄を作ることを提案します。配当の欄には二十七宿か二十八宿かも書きます。月齢を確かめたい場合は、月齢の調べ方から、時刻を指定する手順へ進めます。
まず資料の八月一日「角」から十五日「婁」までを数えてみる。それだけでも、暦に書かれた宿を空の実位置と混同せずに読めます。2026年9月25日の夜に実際にどの星の近くに月が見えるかは、ここでは算定していません。分かった規則と、まだ調べていない空の位置を、分けたまま月見を迎えたいと思います。
よくある質問
二十七宿に牛宿がないのはなぜですか?
国立天文台の暦Wikiは、二十七宿がインドの占星術から宿曜経に組み込まれたもので、二十八宿と比較すると牛宿がないと説明しています。ここでは体系の違いとして確認できます。ただし、牛宿を含めない歴史的理由を一つに特定できる原典までは、今回確認していません。牛宿だけが無効な星という意味ではありません。
2026年9月25日の月は、婁宿の場所にありますか?
二十七宿の八月十五日が婁宿になるという説明だけでは、月の実位置は確定できません。2026年9月25日は国立天文台が案内する中秋の名月の日ですが、婁宿は月日への配当から出る名称です。実際の位置を知るには、見たい日時に対応した天体の位置情報が必要です。本記事では、その晩の月の位置は算定していません。
二十八宿と二十七宿のどちらで相性を判断しますか?
このサイトでは、二十七宿による本命宿を相性の分類に使い、カレンダーの日の暦注には二十八宿を使っています。ただし、相性は伝統上の分類で、人間関係の成否を科学的に保証するものではありません。二つの表示を混ぜず、まず何の分類かを確認します。実際の相手との関係は、暦の結果だけで決める必要はありません。
調べた資料・出典
2026-09-24 確認
- 国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」 — 中秋9月25日、満月9月27日、太陰太陽暦八月十五日との対応と旧暦についての注記を確認。2026年9月24日確認。
- 国立天文台暦計算室 暦Wiki「二十八宿」 — 2017年8月30日更新。牛宿の有無、連続配当、朔日の表、八月十五日・九月十三日の婁宿、宿の不均等な間隔を確認。2026年9月24日確認。
- 国立天文台暦計算室 暦Wiki「満ち欠けの周期」 — 2022年7月11日更新。恒星月約27.3日と朔望月約29.5日、その差の説明を確認。2026年9月24日確認。
暦の吉凶は歴史的な分類・言い伝えとして紹介しています。個人の運命や出来事の結果を保証するものではありません。暦の計算法や資料の説明は更新されることがあります。生活上の予定は、関係者の都合や実際の条件を確かめて決めてください。