旧暦・月の満ち欠け / 大石浩之の暦ことばノート
旧暦に31日がないのはなぜ?2026年秋に読む
旧暦には、どうして31日がないのですか?
旧暦に31日がないのは、月の満ち欠けに合わせ、朔(新月)を含む日を1日とするからです。次の朔の日には翌月が始まり、ひと月は29日か30日になります。2026年秋は9月11日から10月10日までが30日、10月11日から11月8日までが29日です。朔の時刻の差と、暦の日数は分けて数えます。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として仕事をしていますが、ここでは暦の用語を資料から調べています。旧暦の日付には、今の暦のような31日がありません。30日の次が1日になる月も、29日の次が1日になる月もあります。2026年9月29日に確認した公開資料から、その境目をたどります。
旧暦のひと月は、月の満ち欠けに合わせる
旧暦に31日がない理由は、ひと月を月の満ち欠けの周期に合わせて区切るからです。国立国会図書館「暦の渡来と普及」は、約29.5日の周期に合わせ、30日と29日の月を設けたと説明しています。30日の月を「大の月」、29日の月を「小の月」と呼びます。
ここでいう約29.5日は、新月から次の新月へ戻る満ち欠けの周期です。国立天文台の暦Wiki「満ち欠けの周期」も、平均約29.5日と説明しています。星々を背景にした月の公転周期と混同しないようにします。「月が一周する」とだけ覚えるより、何を出発点に、何へ戻るまでを数えるのかを添えたほうが、数字の意味が残ります。
日付の欄には、29.5日という半端な一日を置けません。一方、ひと月を今の暦のように31日まで続けると、次の新月を含む日を迎えてしまいます。旧暦ではそこで新しい月に入り、日付を1日から数え直します。31番目の日がどこかへ消えるのではなく、次の月の日付になるのです。
ただし、「約29.5日だから、毎回切り上げて30日」と決めるわけではありません。平均に近い数字と、ある月の長さを決める手順は別です。実際に29日か30日かを読むには、二つの新月がそれぞれ何月何日に当たるかを確かめます。
月初は、朔の瞬間ではなく朔を含む日
太陰太陽暦では、朔、つまり新月の瞬間を含む日を月の1日とします。国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」は、この月初の定義を示しています。朔の瞬間になってから暦の日付が1日に替わる、という意味ではありません。
同ページの例では、2026年9月11日の12時27分が朔です。9月11日が太陰太陽暦の8月1日に当たります。昼の12時27分を待って月が始まるのではなく、その時刻を含む9月11日という日全体が月初です。新月より前の朝も、同じ1日の中にあります。
2026年10月11日の朔は0時50分です。この場合も、10月11日を月初にします。12時27分と0時50分では時刻が大きく違っても、どちらも「朔を含む日を選ぶ」という規則は同じです。夜空に細い月が見えるまで待つ、という数え方でもありません。
私は、この「瞬間」と「日」の違いを先に知ると、旧暦の数字を読みやすくなると思います。日数だけを暗記しても、昼に新月になる日の午前中は何日なのか、という疑問が残ります。境目の決め方が分かれば、その疑問を資料へ戻して確かめられます。
月齢も、旧暦の日付とは別に読む必要があります。旧暦は日付を1から数えますが、月齢は朔からの経過を表す量です。時刻を含む確認方法は、月齢の調べ方に整理しました。月齢の小数を丸めて1を足せば、いつでも旧暦の日付になるとは考えないでください。
2026年秋の三つの朔から、30日と29日を数える
国立天文台「令和8年(2026)暦要項・朔弦望」には、2026年秋の朔が中央標準時で掲載されています。9月11日12時27分、10月11日0時50分、11月9日16時02分の三つを使うと、隣り合う月の長さを比較できます。資料の発表日は2025年2月3日です。
- 9月11日を月初とする区間:9月11日から10月10日まで。
- 10月11日を月初とする区間:10月11日から11月8日まで。
- 11月9日は次の月の1日。直前の月の日数には含めません。
最初の区間は、9月11〜30日の20日分と、10月1〜10日の10日分です。合わせて30日なので、大の月になります。次の区間は、10月11〜31日の21日分と、11月1〜8日の8日分。合わせて29日なので、小の月になります。これは公表された朔の日付に、月初の定義を当てはめた計算です。
少し意外なのは、朔の瞬間同士の間隔です。掲載時刻を引くと、9月から10月は29日12時間23分です。10月から11月は29日15時間12分で、こちらのほうが長くなります。それでも暦の日数は、前の月が30日、後の月が29日です。時刻の間隔が長いほうを大の月と呼ぶわけではありません。
この逆転は、経過時間を四捨五入せず、朔を含む日の境目で区切るために起こります。9月11日の昼から10月11日の未明までは30日未満でも、日付の差は30日です。10月11日の未明から11月9日の夕方までは29日半を超えても、日付の差は29日になります。
数えるときは、始まりの日を含め、次の月初は含めません。9月11日から10月11日まで両端を含めると31日になりますが、最後の10月11日はすでに翌月の1日です。その一日まで前の月に入れたことが、数え間違いの原因です。
大の月と小の月は、毎年同じ配列ではない
旧暦の大の月と小の月の並びは、現在の暦の月別日数のように固定されていません。国立国会図書館「暦の渡来と普及」は、大小の配列も毎年替わったと説明しています。2026年秋に30日、29日と続く例を見ても、そこから先を機械的に交互に並べることはできません。
「大の月」という言葉も、新暦を読むときと旧暦を読むときでは日数を取り違えやすい言葉です。この記事でいう大の月は30日です。新暦の10月に31日があることと、10月11日から始まる旧暦の月が29日であることは両立します。違う境目で切った二つの暦だからです。
閏月も、月末に31日を足す仕組みではありません。国立国会図書館は、季節とのずれを調整するため、閏月を入れて13か月の年を作ったと説明しています。調整の単位は月です。29日・30日という一つの月の日数の話と、何か月ある年にするかという話を分けます。
ここまでの計算で分かるのは、月初と次の月初の間の日数です。各月の名前や閏月の配置まで、朔の一覧だけで決めたことにはなりません。国立天文台の名月解説も、現在は公的機関が旧暦を計算・発表していないと注記しています。天文現象の公表表を、そのまま公式の旧暦換算表とは呼びません。
実際の旧暦月日を調べたい場合は、対象年や凡例を確かめる作業も必要です。資料の選び方は旧暦の調べ方で扱っています。月の日数を理解することと、手元の日付を換算することを、順番に進めるための記事です。
私は、日数の暗記より境目を確かめたい
旧暦の月の日数を確かめる最初の一歩は、同じ時間基準で書かれた二つの朔の日付を抜き出すことです。2026年秋なら「9月11日、次は10月11日」と書くだけで始められます。次の月初の前日までを数え、30日になった理由を手元で追えます。
私は、29日か30日かをすぐ答えられることより、自分で確かめ直せる材料が残るほうを選びます。「旧暦はそういうもの」で片付けたくありません。全部の月を覚えなくても、二つの日付と出典があれば一つの月を説明できます。今日の成果は、暦の答えを信じ込むことではなく、判断する材料が一つ増えることだと考えます。
ただ、31日がない理由を知りたい人に、朔の時刻の引き算まで必要かは迷います。細かさで読む手を止めたくないからです。それでも今回は残しました。実時間では長い区間が暦では小の月になる例は、「約29.5日を丸めればよい」という読み違いをほどく材料になるからです。
六曜などの言葉を読む場合も、日付を作る規則と吉凶の解釈は別です。六曜と旧暦の関係では、旧暦月日に基づく配当を説明しています。月の日数が天文情報から確かめられても、伝統上の吉凶が出来事の結果を科学的に予測できることにはなりません。
私は、メモに「中央標準時」「次の月初は数えない」の二つを添える方法を勧めます。出典名と確認日も一緒なら、別の年を調べるときに同じ手順へ戻れます。31日がない理由を知った先で、どの暦を暮らしの参考にするかは、材料をそろえてから選べばよいと思います。
よくある質問
旧暦の29日と30日は、必ず交互に来ますか?
必ず交互に来るとは限りません。旧暦の月は朔を含む日で区切り、隣り合う月初の日付の差から日数を読みます。国立国会図書館も大小の月の配列は毎年替わったと説明しています。2026年秋の30日、29日という一例から、別の月や年の並びまで決めず、その年の資料で確かめます。
閏月のある年なら、旧暦にも31日がありますか?
閏月を入れても、ひと月に31日を設けるわけではありません。太陰太陽暦の閏月は、暦と季節のずれを調整するために一つの月を加える仕組みです。国立国会図書館は13か月の年を作ると説明しています。月の日数を増やすことと、年の中の月の数を増やすことを区別してください。
月齢に1を足すと、旧暦の日付になりますか?
いつでも一致する換算方法ではありません。月齢は朔からの経過を表し、時刻によって変わります。一方、旧暦の1日は朔の瞬間を含む日全体です。2026年9月11日は12時27分に朔となりますが、午前中も同じ月初の日に含まれます。旧暦月日が必要なら、対象年と凡例を確認した換算資料を使います。
調べた資料・出典
2026-09-29 確認
- 国立天文台「令和8年(2026)暦要項・朔弦望」 — 2025年2月3日発表。2026年9月29日確認。中央標準時で9月11日12時27分、10月11日0時50分、11月9日16時02分の朔を確認。本文の日数・時間差は掲載値から計算。
- 国立国会図書館「暦の渡来と普及」 — 2026年9月29日確認。「太陰太陽暦とは?」で29日・30日の月、大小の配列の変化、閏月を確認。初回公表日の表示は確認できず。
- 国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」 — 2026年9月29日確認。朔を含む日が月初となる定義と9月11日の対応、注1の旧暦に関する留保を確認。初回公表日は不明。2026年9月4日の画像修正注記あり。
- 国立天文台 暦Wiki「満ち欠けの周期」 — 2026年9月29日確認。満ち欠けの周期は平均約29.5日で、公転周期とは異なり、実際の周期は変動することを確認。
暦の吉凶は歴史的な分類・言い伝えとして紹介しています。個人の運命や出来事の結果を保証するものではありません。暦の計算法や資料の説明は更新されることがあります。生活上の予定は、関係者の都合や実際の条件を確かめて決めてください。