月の満ち欠け / 大石浩之の暦ことばノート
月の出がない日はなぜある?11月3日の東京の暦
月の入りには時刻があるのに、月の出がない日はなぜあるのですか。
月の出が日ごとに遅くなり、次の月の出が午前0時を越えると、その暦日には月が一度も昇りません。東京では2026年11月2日23時40分に昇った月が3日13時24分に沈み、次に昇ったのは4日0時47分。国立天文台の月表は3日の「出」を「--:--」と記しています。
11月3日、月の出は空欄なのに月は沈む
2026年11月3日の東京では、月が13時24分に沈みました。では、その月は何時に昇ったのでしょうか。国立天文台暦計算室の表で「3」の行を左へたどると、「出」の欄には数字の代わりに「--:--」が並びます。答えが載っているのは、一つ上の「2」の行です。
この表は、東京の一日を午前0時から次の午前0時までに区切り、その間に起きる出来事を欄ごとに載せています。一行がひと晩の観察記録になっているわけではありません。「3」の行の「入り」から「出」へ横に指を動かしても、同じ月が昇って沈む一続きの時間を拾えるとは限らないのです。
「月の出」は、月が見えている時間の長さを表す言葉でしょうか。暦計算室の月表の注記には、月の中心が地平線に一致する時刻を出入りの時刻としているとあります。昇る途中でその境目を通る瞬間が「出」、沈む途中で境目を通る瞬間が「入り」です。月が地平線の上にとどまっている間は、新しい「出」は記録されません。
3日の欄をもう一度見ると、南中は6時37分、入りは13時24分です。朝に月が空を通り、午後には沈んだことが、二つの時刻から読めます。「出」の記号だけを取り出して「3日には月が一度も空に出ていなかった」と読むと、同じ行の二つの数字を説明できません。南中欄が指す瞬間は、月の南中時刻の調べ方でも取り上げています。
2日23時40分から、日付を付けたまま追う
東京の月表から、この疑問に関係する出来事だけを抜き出しました。読み始めは11月2日の夜です。表の列の並びをいったん離れ、日付と時刻を一組にして、時計の針が進む順に並べます。
- 11月2日23時40分 月が昇ります。2日が終わるまで残り20分です。
- 11月3日6時37分 前の晩に昇った月が南中します。
- 11月3日13時24分 その月が沈みます。3日のうちに次の月の出はありません。
- 11月4日0時47分 月が再び昇ります。暦の上ではもう4日です。
最初の月の出から次の月の出までを計算してみます。2日の23時40分から3日の23時40分までで24時間。そこから4日の0時までが20分、その先が47分です。合わせると25時間7分。この間隔の中に、3日の0時から24時までが丸ごと収まります。これが「3日には月の出がない」の中身です。
一方、同じ2日23時40分を出発点にして、3日13時24分までを数えると13時間44分になります。こちらは、月が昇ってから沈むまでの時間です。「出から次の出まで」と「出から入りまで」は、起点を共有していても終点が違います。25時間7分ずっと月が空にあった、という意味にはなりません。
表には11月2日の「入り」もあります。12時53分です。2日23時40分に昇る月より先に、別の巡りの月がその日の昼に沈んでいます。「出」と「入り」はその順序で表に印刷されていますが、同じ行の早い時刻は右側にあることもあります。時刻を引き算するときは、どの出とどの入りを組にするのかを先に決めると読み違えません。
次の月の出が午前0時を越える理由
地上から見ると、地球の自転に伴って月は空を横切ります。同時に、月自身も地球の周りを公転しています。国立天文台の「出入りあれこれ」には、月が太陽に対して東へ移っていくため、月の出入りの時刻は日を追って遅くなると説明されています。時計が翌日の同じ時刻を指しても、月がちょうど前日と同じ位置に戻るとは限りません。
たとえば11月1日の東京の月の出は22時30分で、2日には23時40分です。時計の文字盤だけで比べると1時間10分遅れています。次の巡りでは、2日の23時40分に対して1時間7分遅れ、時計の表示が0時47分に戻ります。時刻の数字は小さくなりますが、月の出は確かに後になっています。
ここで「毎日1時間7分を足せばよい」という規則を作ると、すぐに実際の表とずれます。4日0時47分の次は5日1時52分で、このときの時計の差は1時間5分です。3日間の数字は、毎回同じ分数で遅れることの例ではありません。今回知りたいのは、遅れがその日の日付の内側に収まったか、境を越えたかです。
深夜をまたいで起きている人には、3日の夜から4日0時47分までが、一続きの「3日の晩」に感じられるでしょう。ところが暦表でその月の出を探す場所は4日の行です。日常の「晩」は日没後のまとまりを指せますが、この表の「日」は午前0時で切り替わります。夜空で月が一回休んだのではなく、連続する動きに引いた日付の線が、二つの月の出の間に二本入ったのです。
「--:--」を別の欄でも読んでみる
この記号の読み方は同じ月の別の行でも確かめられます。11月18日の東京の表で「入り」を見てください。ここにも「--:--」があります。今度は月の出の欄に12時42分と記されています。同じ印でも、どの列に付くかで、その日に起きなかった出来事が変わります。
前後をたどると、17日の月の入りは23時10分、次の月の入りは19日0時10分です。18日の昼に昇った月は日付が変わってから沈むので、18日の行には入りの時刻を書けません。3日の例で「月の出」を挟んだのと同じように、今度は二つの「月の入り」で18日を挟めます。空欄を0時0分として計算すると、この順序は崩れてしまいます。
国立天文台の用語解説には2006年10月の例もあります。15日23時58分の月の出の次が17日0時58分で、間の16日の「出」は「--:--」です。日付も時刻も東京の2026年11月の値とは違いますが、解説が示す記号の意味は同じです。記号の読み方は用語解説で、知りたい日の数値はその年月と地点の表で。それぞれの資料から借りるものを分けられます。
元の表に戻るときは、ページ上部の「東京」と「2026年11月」を確かめてください。表が示す地点は北緯35.6581度、東経139.7414度、標高0メートル。ここに載る時刻は、日本各地で同じ月を見た人の実測時刻ではありません。磐田など別の地点で同じ問いを確かめる場合は、月の出の調べ方を使い、地点を選んでから前日と翌日も表示します。
私なら、予定表には「4日未明」と書く
私がこの月表でよいと思うのは、3日に起きた南中と入りの数字が、「出」の時刻がない日にも残っていることです。朝の月に関心がある人にはこの二つが手掛かりになります。ただ、3日の行だけを切り抜いて渡すと、前の晩の23時40分がこぼれ落ちます。そこは、表を人に渡す側が補いたいところです。
予定を伝える言葉には迷います。「3日の晩」と書けば夜更かしする人には自然ですし、「4日の月の出」とだけ書けば4日の夕方に待つ人もいるかもしれません。私なら、暦の数字を写す行には「東京・11月4日未明0時47分」、説明の一行には「3日の夜を過ごしたあと」と添えます。誰かと時間を合わせる場面では、まず日付の取り違えを一つ減らしたいからです。
その時刻に起きるかどうかは、表を読む段階で決めなくてもよいと思います。月が昇る瞬間を知りたい人と、朝の空に月を探したい人では、選ぶ時間が違います。後者なら下弦の月の見つけ方にあるように、朝の月の位置を調べる方法もあります。手元の窓や道からその方向が開けているか、空に雲があるかは、暦表の数値とは別に確かめられます。
原表を開いたら、まず3日の「--:--」に指を置き、同じ列の一つ上と一つ下を読んでみてください。紙に残すなら「東京 2日23時40分 → 4日0時47分」で足ります。その二つの間に3日が丸一日入ることまで自分で確かめられたら、次に別の月表で同じ記号に出合ったときも、空欄の前後から答えを拾えます。
よくある質問
月の出がない日は、一日中月が見えないのですか。
前の日に昇った月が地平線の上に残っている時間があります。東京の2026年11月3日には、2日深夜に昇った月が朝6時37分に南中し、午後1時24分に沈みました。「出」の欄は月が地平線を昇る瞬間を記す欄です。実際にその月を目で追えるかどうかは、雲や周囲の見通しにも左右されます。
月表の「--:--」は午前0時ちょうどという意味ですか。
国立天文台の月表で「出」欄にこの印があるときは、その地点のその日に月の出がありません。午前0時を表す数字とは区別します。11月3日の東京なら、前の行の2日23時40分と次の行の4日0時47分を続けて読むと、3日の日付に入る月の出がないことを確かめられます。
東京で月の出がない日を、磐田の予定表にも写せますか。
磐田の予定には磐田付近を指定した計算結果を使います。東京の月表は表頭に示された経緯度と標高での時刻です。深夜に近い月の出では、地点による時刻差が日付の境にかかることもあります。月の出を知りたい地点を選び、前後の日付を含めて「出」欄を読んでください。
調べた資料・出典
2026-11-04 確認
- 国立天文台暦計算室「月の出入り」東京・2026年11月 — 2026年11月4日確認。地点と標準時、1〜5日・17〜19日の出入り、3日の南中、月の中心を基準とする注記を確認。
- 国立天文台暦計算室「出入りあれこれ」 — 2026年11月4日確認。「月の出入りの順番」「出入りや南中のない日」で、時刻が遅れる理由と2006年10月15〜17日の例を照合。
暦の吉凶は歴史的な分類・言い伝えとして紹介しています。個人の運命や出来事の結果を保証するものではありません。暦の計算法や資料の説明は更新されることがあります。生活上の予定は、関係者の都合や実際の条件を確かめて決めてください。